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機動戦士フォークリフト 
遠い遠い遙か未来の銀河で・・・


その少年は名を、安室 零(あむろ れい)と言った。
彼が高校二年の秋、技術者だった彼の父親が謎の失踪を遂げた。
元々裕福なわけではなかった彼の家庭の生計が、母親の少ない稼ぎでは成り立たなくなるのは
目に見えていた。

その年の冬、少年は高校を辞め、とある企業に就職した。
その名は「連邦運輸」。

そこで起きる出来事が彼の人生を熾烈な争いの渦に巻き込んでいくとは知らずに。
機動戦士フォークリフト 第0話 
    ~始動~

少年はとある倉庫の前に立っていた。
元々は白い建物だったのだろうが、薄汚れていて所々外壁がはがれている箇所もある。
金属製の屋根が目にまぶしい。

少年のすぐ目の前の入り口の上部にある看板には「連邦運輸」と赤い文字で書かれている。
ここが、彼、零の初めての職場になるのだ。

中を伺う。天井にまで届くかというほどの荷物の山が木製のパレットに積まれている。ダンボールで梱包された
荷物の表示を見るとそれらは電子製品などに使われる精密部品のようだ。

「安室零君かな?」

後ろから声がした。とっさに振り返るとそこには零とさほど歳が離れていないような青年が立っていた。

「待っていたよ。私は無頼斗 野亜。ブライトと呼んでくれたまえ。さ、こっちに。」

ブライトと名乗った青年にうながされ、零は倉庫の奥へ歩き出した。

「は、初めまして。安室 零と言います。よ、よろしくおねがいします。」

「うむ、よろしく頼む。期待しているぞ。所長からも君の事や両親の事も聞いている。」
歩きながらブライトは続ける。

「ところでうちへの入社に関しては君のお母さんが随分と尽力されたみたいだね。」

「あ、はい。僕の父親が以前ここの所長さんと交流があったらしく、母親の紹介でなんとか仕事させてもらえるようになりました。」

「父親?もしかして君のお父さんは安室博士かね?」

ブライトは突然振り返り零に尋ねた。

「博士?な、なんのことでしょうか?」
なんの事かわからないという表情の零を見るとブライトはまた振り返り歩き出しながら言った。

「いや、なんでもない。忘れてくれ。さて、早速だが君には仕事をしてもらう。」

初めての仕事。普通の高校生でバイト経験もなかった零少年が与えられる初めての仕事。
零の鼓動がわずかに速まる。

「今日の君の仕事、まずはこの建物の中をよく知ってもらおう。それからここで働く者達の紹介だ。」


その後の十数分で零は建物の中を一通り見てまわった。
食堂やトイレ等の場所、休憩所の位置などを教えてもらった。自分用のロッカーと制服も与えてもらった。

零は頭の中でこの建屋内を整理する。高い天井から釣り下がるクレーン、忙しく走り回るフォークリフト。
彼が今まで住んでいた世界とはまるで別の世界のようだ。

(僕みたいな何の経験もない奴がこんな所で働いていけるのかな)

困惑する零の顔から何かを察したのかブライトが呟いた。

「なに、心配することはない。君ならすぐなれるさ。そんなことよりさ、こっちへ来たまえ。」

ブライトに手招かれ向かった先は建屋の北西の隅、休憩所のあるところだ。
丁度休憩の時間なのだろう。数人の作業者達が集まっている。

「まずは君からだな。安室君、自己紹介を頼む。」

「は、はじめまして。安室零と言います。よろしくお願いします。」

パチパチとささやかな拍手が少年に送られた。
拍手の止むのを待ってブライトが口を開く。

「まず右端に座っているからだの大きな彼がリュウさん、クレーンの運転をしてくれている。」

「よろしく頼むぜ、坊主。」
色黒の大男が見た目どおり大きな胴間声で言う。

「その隣、小柄で実直そうな彼はハヤト君。玉掛師だ。」

「きみとは同い年だよ。よろしくね。」
人なつこそうな笑顔を浮かべる自分の同い年の少年を見て零は少しほっとした。

「次、ヒョロっとした目つきの悪いのがカイ君。フォークリフトの操縦者だ。」

「目つきの悪いは余計だぜ。まぁよろしく頼むわ。」

「では、女性陣の紹介に移ろうか。髪の長い背の高い女性がセイラさん。隣の小柄なメガネの女性がミライさんだ。」

「よろしくね安室くん。」
「一緒に頑張りましょうね。」

「さぁ、紹介が済んだばかりでなんだが、安室くんには早速本来の仕事をしてもらおう。」

午前十時過ぎ。しーんと静まる倉庫内。

「君がまず最初にする仕事は、ピッキング作業だ。」

こうして零の記念すべき第一日は過ぎていったのだった。
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テーマ:連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2006/07/09 18:25】 | よみもの | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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